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日記

アリが大挙して侵入

客を迎える朝というものは、どこか張りつめた気が漂う。
そのとき家人が、坪庭に面したガラス戸の隙間から、黒い影がぞろぞろと侵入しているのを見つけた。アリである。

体長2、3ミリの小さな生きものが、まるで古代の軍勢のように、細い帯をつくって行進している。事務室を抜け、厨房前を通り、寝室前の廊下を経て、客間の入り口にまで達していた。ざっと25メートル。 目当てになりそうな食べ物もない室内に、なぜこれほどの遠征を試みたのか、見当がつかない。

フマキラーを吹きつけてみたが、敵は意外に屈強だ。薬剤の霧をものともせず、隊列は乱れながらも前進を続ける。やむなく雑巾で拭き取り、掃除機で吸い取るという、強硬手段に切り替えた。ひとまずは制圧したかに見えたが、30分もすると、また少数の斥候が道をつくりはじめている。実にしたたかである。

夕方になって、ついにアリ専用の薬剤を買い求め、ようやく全滅させることができた。その日の客人には、朝から殺生に追われた顛末を語り、「私は、地獄行きの身でございます」と、正直に告白した。

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