境内や駐車場の草が伸びはじめる頃になると、毎年のように草刈りをお願いしている。 打ち合わせの折、今年は熊よけのスプレーを用意したと聞かされた。しかし、マムシやダニといった、より身近で、より厄介な生き物については、どうやら無対策らしい。
作業に来てくださる責任者の方は、御年89歳。 見ていて動きぶりに衰えは感じられない。
以前から、この方がマムシを食べているという話を耳にしていた。この地では、毒をもつ生き物を逆に薬として扱う風習が残っている。マムシ酒などはその典型だろう。
89年の歳月を背負いながら、なお現役で草刈り機を振るう一人の男性の姿を、今年も見ることができる。 文明がどれほど進んでも、人の営みの裏に、こうした伝承の力に支えられていることがあるのだと気づかされる。