家人は、今年も変わらず蕗の佃煮をつくっている。
庭の隅に自生する季節の恵みを摘み取って、刻み、茹で、そして味を付けて煮詰める作業をする。焦げ付かないようにタイマーを見ながら、赤子の様子を見るように鍋の前に足を運ぶ。
お店に行くと、たやすく手に入るものかもしれないが、なぜか手間暇をかけて作っている。きっとその手間こそが、季節を味わう術だと心得ているように見える。
鍋の蓋を取ると、湯気とともに香りが体に流れ込んで、一瞬、子供のころの自分になる。
家人がこの作業を好むのは、ふるさとの風景を思いだしているのかもしれない。