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日記

押し活

近ごろ「押し活」という言葉を耳にする。 人が何かしら心を寄せる存在を持ち、その人物や芸を通して、 自分の内側の風を入れ替えるような行為を指すらしい。

性別も年齢も、まして生活の場も問わない。 むしろ、そうした境界を軽々と越えていくところに、 現代という時代の面白さがあるのだろう。

ご近所の七十歳代のご婦人は、三山ひろしと福山雅治が「たまらない」と笑っておられた。また、六十歳代のご婦人は、小学五年のころから、 さだまさしを推し続けているという。 半世紀を超える押し活である。

人はそれぞれ、機会を見つけてはコンサートに足を運び、 そのひとときを生活の糧としている。

私は芸能人に対して押し活をした経験はない。 しかし、思い返せば司馬遼太郎さんについては、 どこか押し活に似たことをしていた。

お目にかかったことも、講演会に出向いたこともない。 それでも講演のCDを聴き、著作を読み、 作品の舞台となった土地や記念館を訪ね歩いた。 いま思えば、それは静かな押し活であったのかもしれない。

推しという存在は、時に人を外へ連れ出し、 時に内側の扉を開けてくれる。 その小さな解放感こそが、 現代の押し活を支えているように思われる。

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