この季節になると、お寺の周囲では、どこからともなく草刈り機のエンジン音が響きはじめる。 田植えが終わりに近づき、田んぼの水面がようやく落ち着きを取り戻す頃になっても、農家の周りや農道では、伸びた草を刈る作業が続くのだ。
光善寺もまた、その例外ではない。 境内の周囲では、ここ数日、軽やかなエンジン音が朝から夕方まで続いている。 山門の前に立つと、草の青い匂いが風に乗って流れ込み、初夏の気配をいっそう濃く感じさせる。
しばらく、法座のお参りや来客が増える予定がある。
お迎えする側として、境内が整えられていくのを見るのは、どこか胸の奥がすっと晴れるようでうれしい。 もちろん、草むらの中にひっそりと佇む寺というのも、昔語りのような風情があるのだが、現代のお寺では、やはり伸び放題の草は好まれない。
駐車場や墓地など、広い場所は特に手がかかる。 それでも、四日間かけて丁寧に刈っていただいたおかげで、境内は見違えるほど明るくなった。
草が短くなると、石畳の影がくっきりと浮かび、山門から本堂へ続く風の通り道が、まるで新しく描き直されたかのように感じられる。
お参りの方々も、きっと気持ちよく歩いてくださるだろう。
次に草刈りをお願いするのは、おそらくお盆前になる。 その頃には、今日刈られた草もまた勢いを取り戻し、夏の陽射しを浴びて伸びているに違いない。
草と人との静かな攻防は、毎年のことながら、どこか季節の節目を知らせる合図のようでもある。