台風6号が列島を荒々しく駆け抜けた。各地に爪痕を残し、人の暮らしを容赦なく攪乱していったが、被害にあわれた方々のことを思うと、胸の奥が痛む。
自然の仕業をどう受け止めるかは、人それぞれだ。しかし不思議なことに、自然に対しては、恨みや怒りが意外なほど向けられない。怒りの矛先を探し、行政にぶつけることはたまにあっても、自分自身を責めることもない。
これほどの災害をもたらしながら、なお恨まれぬ自然とは、いったい何者なのだろう。
毎年のようにこの季節にやってくる台風は、もちろん意図して訪れるわけではない。仏教では「自然」を「じねん」と読む。「そうなるべくして、そうなっている」という理である。
この理を聞いている人は、自分を包む自然を、ひとつの大きな命として受けとめているのだろう。人智の及ばぬところで、すべてを包み込んでいる存在として聞こえているはずだ。